離婚時の財産分与とは?婚姻期間中に築いた資産は?

秘密厳守 相談無料 24時間受付 フリーダイヤル:0120-917-791
メールでのお問い合わせ

財産分与とは

離婚時に問題となる財産分与とは 財産分与の種類など

婚姻期間中に夫婦の協力によって得られた財産を、離婚の際に清算することを財産分与といいます。

夫婦は共同生活している間、お互いの協力によって一定の財産(不動産、株券や国債などの有価証券、貯蓄、自動車など)を形成しますが、それらは多くの場合、夫の名義とされています。
しかしながら、たとえ夫が働いて得た給与から購入し、その名義は夫になっていても、妻の協力貢献によって形成維持されたものですから、夫婦の共有財産となります。

したがって、離婚の方法を問わず、法律で正当に認められた権利でありますので、夫婦どちらに離婚原因があろうが、原則として公平に分与されます。
ただし、離婚原因をつくった側の財産分与が慰謝料として差し引かれて、少なくなるケースもあります。

財産分与には上述のように夫婦財産の清算を目的とするものと、離婚後の扶養目的のためのものがあります。
後者の例としては、妻が高齢な専業主婦であるとか、配偶者が病気などを患って自活能力を持たない場合、離婚後に毎月数万円の生活費を支払って生活の維持を図るというものです。

ふつう、不法行為(不貞行為、悪意の遺棄、暴力などの有責行為)に対する慰謝料は、財産分与とは別の権利ですが、実際の財産分与の支払いは慰謝料と明確に区別せずに合算する場合もあるため、財産分与は慰謝料の性格を持つこともあります。
財産分与に慰謝料が含まれるのかどうかは、離婚協議書にきちんと明記しておきましょう。

婚姻中の財産

財産分与を考えるうえで、夫婦の財産は次のとおり分類されます。

共有財産

婚姻期間中に夫婦の共同名義で購入して共有している財産や、共同生活に必要とされる家具や家電。
また、夫婦のどちらのものか判断できない財産は、共有財産と推定されています。

実質的共有財産

婚姻期間中に夫婦が協力して取得した財産で、夫婦どちらかの名義になっているもの。
夫の名義となっている財産でも、妻がその財産形成に貢献していれば、実質的には夫婦の共有財産となります。

特有財産

婚姻前に夫婦の各自が所有していた財産や、婚姻期間中に夫婦のどちらかが相続や贈与などで得た自己名義の財産。
また、社会通念上、各自の持ち物と考えられるアクセサリーなど。

ただし、特有財産でも夫婦の一方が、他方の特有財産の形成維持や増加に貢献していれば、その寄与度の割合に応じて財産分与の対象とされる場合もあります。
なお、夫が婚姻前から所有していた財産は夫の特有財産ですが、婚姻期間中にその不動産の価値が上昇した場合、上昇した価値の部分は共有財産となることもあります。

財産分与の対象となるのは、「共有財産」と「実質的共有財産」です。
「特有財産」は原則として財産分与の対象にはなりません。

財産分与の対象となる財産、ならない財産

上述のとおり、夫婦すべての財産が財産分与の対象になる訳ではありません。
具体的に何が財産分与の対象となり、何がならないのか、例を挙げてみました。

対象となる財産

  • 土地や家屋などの不動産
  • 家具や家電
  • 自動車
  • 銀行預金や貯蓄型生命保険
  • 株券や国債などの有価証券
  • ゴルフ場などの高額会員権
  • 退職金

※退職金については、離婚時すでに受領していれば財産分与の対象となります。
 ただし、婚姻前からの勤務期間分は対象から外されます。

また、近い将来支給されるものについては、勤務先の経営状況などにより、退職金の金額に不確定要素のある場合が多いので、確実に退職金の支給されることが立証されなければ、財産分与算定の際、考慮に入れる事が難しいでしょう。立証されれば退職金が支給された時点で分与されます。

  • 借金(債務)

※生活費や家賃の支払いなど、婚姻生活をしていくうえで生じた借金は、夫婦共同の財産分与の対象となり、連帯して支払う義務が生じます。

 

しかし、夫婦の一方が自分自身のためにした個人的な借金は清算の対象にはなりません。
ただし、その借金の連帯保証人になっていた場合は、もちろん支払いの義務があります。

対象とならない財産

  • 夫婦の一方が経営する会社

※ただし、お互いが持っている会社の株は財産分与の対象になります。また、会社設立時に出資金を負担している場合は、その負担分が財産分与の対象になります。

  • 独身時代に自分で蓄えた貯金
  • 妻の嫁入り道具
  • 婚姻後に親族から贈与された物

離婚を考える際は対象となる財産と、対象にならない財産を確認しておき、対象となる財産の関係書類など(下記参照)を確保しておきましょう。

  • 不動産登記簿謄本
  • 銀行預金通帳と印鑑
  • 生命保険契約書
  • 自動車の車検証
  • 株券や国債証券などの有価証券

不動産の財産分与

さて、財産分与で問題となるのは、ローンの残っている不動産です。
財産分与の対象となるのは、不動産の時価から財産分与時のローン残債を差し引いた残額となります。

もし、不動産の時価が3,000万円で、ローンの残債が1,000万円残っていた場合、3,000万円から1,000万円を差し引いた2,000万円が財産分与の対象となり、2,000万円を夫婦で分与することになります。
不動産を売却処分して、その代金を分与するのがスッキリしていちばん理想的かもしれませんが、売却には税金がかかり、残ったローンの返済も大変です。また、債権者である金融機関の同意も必要になります。

そこで、不動産自体を分割するのではなく、その不動産を金銭に見積もり、不動産を譲り受ける側が、相手側に金銭を支払って解決するケースが多いようです。
不動産の価値の算定方法は、市町村役場で取得できる「固定資産税の評価」などがありますが、金銭的に余裕があれば、不動産鑑定士に依頼するのも良いでしょう。

また、不動産を譲り受ける側が名義変更をする場合には、必ず不動産の権利変動を登記してください。そうしないと完全な権利変動にはなりません。
名義変更の手続きも費用がかかりますので、この登記費用をどちらが負担するか取り決めをしたほうが良いでしょう。 借地上の建物を財産分与する場合、借地権の譲渡をともなうので、地主の了解も必要となります。

財産分与の算定

財産の分与は、基本的に夫婦の話し合いで取り決めます。
分与の算定基準は、夫婦が共有財産形成にどれだけ貢献したか、寄与度によって割合を決めていきます。

金銭的な寄与以外にも、家事や育児なども財産形成に貢献したと判断されます。
家庭裁判所でも婚姻期間別の統計資料がありますが、あくまで目安であり、夫婦の年齢、婚姻期間、資産、職業、その他個別的な事情などにより財産分与の割合を取り決めていきます。

共働きの場合

夫婦が共働きの場合、財産形成の寄与度は半々とみなされ、財産分与は50%ずつになります。
原則、夫婦の収入差は寄与度の差にはならないのですが、実働時間などに極端な差がある場合、寄与度に応じて割合を決めていきます。

専業主婦の場合

兼業主婦に比べると、専業主婦の家事労働は低く評価されてしまうようです。
判例の大半は20~50%程度であり、50%になるには不動産などの高額財産購入時に妻も現金を出した場合などです。
また、離婚時に妻が高齢な専業主婦であり、扶養的な要因があるときには50%まで認められる場合もありますが、一般的には低くなります。

夫婦で家業に従事する場合

共働きの夫婦と同様に、財産形成の貢献度は半々とされ、財産分与は50%ずつとなります。

ただし、事業の運営がどちらか一方の手腕によるものが多い場合は、その寄与度に応じた割合となります。

財産分与の請求期間

離婚後、2年を経過すると財産分与の請求はできません。(民法768条2項)
いったん離婚が成立した後では、相手も話し合いに応じてくれない場合もあり、財産分与の対象となる財産を散財されたり、値切られたりする恐れがあります。
できるだけ早く請求して解決することが望ましいでしょう。

財産分与にかかる税金

支払う側の税金

財産分与を金銭で支払う場合には、支払う側に対して税金はかかりません。
不動産や株式などを財産分与する場合には、支払う側に譲渡所得が発生したとみなされ、譲渡所得として所得税と住民税が課税されます。

したがって不動産を財産分与する場合、まず税務署に譲渡所得税などの税額を確認しておくことが重要です。
ただし、離婚後に現住している不動産を財産分与する場合には、譲渡所得の特別控除3,000万円が適用されます。

受ける側の税金

財産分与を金銭で受け取る場合には、受け取る側に対して税金はかかりません。
不動産で財産分与を受け取った場合は、通常、不動産取得税はかかりませんが、自分名義の財産にするためには、登録免許税などの登記費用がかかります。
また、財産分与の額が、婚姻中に得た財産に対しての寄与度や、その他いっさいの事情を考慮しても多すぎると判断された場合には、贈与税が課せられることもあります。

秘密厳守 相談無料 24時間受付 フリーダイヤル:0120-917-791
メール相談【無料相談】あなたのお悩みご相談ください