ご存知のように、離婚時にはその原因をつくった配偶者へ慰謝料の請求ができます。
また、その原因が不貞行為であれば、不貞の相手方にも共同不法行為として慰謝料請求できる事をご存知の方も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、慰謝料がいつまで請求できるのかという点は意外に知られていません。
離婚した後では、婚姻期間中の不貞行為について元配偶者や浮気相手に対する慰謝料の請求はできないのでしょうか?
不貞も不法行為の1つです。不法行為の損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知ったときから3年で時効により消滅します。
したがって、不貞行為にもとづく慰謝料請求権は最後の不貞行為および浮気相手を知ったときから3年で時効により消滅します。また、除斥期間は20年となります。
※除斥期間とは、法律関係を速やかに確定させるために設けられた権利行使の制限期間のことです。時効のように中断されることはなく、援用(時効成立のために時効期間経過後、その利益を受ける人が、意思表示をすること)も必要ありません。
ですから、不貞行為に気が付かないままであっても、不貞行為のときから20年で除斥期間となりますので、21年後に浮気の事実を知ったとしても慰謝料を請求することはできません。
もし、浮気の事実を知ったときに浮気相手との関係が終わっていたとしても、時効を迎えるまでは、有責配偶者はもちろん浮気相手にも慰謝料を請求することができます。
ただし、あまりにも年月が経過していると不貞行為の立証が難しく、確たる証拠もなく浮気相手を訴えると逆にこちらが訴えられる恐れもあるので、確実な証拠を得てから行動に移しましょう。
ちなみに、財産分与の請求権は離婚成立日から2年で除斥期間(実質的には時効と同様)となりますのでご注意ください。
上述のように実際は離婚をした後であっても、元配偶者や浮気相手に慰謝料を請求することができるのです。